イーダのマンガ探訪

個人的にお勧めなマンガやアニメなどを上げていきます

人は大事なものを守るためどこまで鬼になれるのか「マイホームヒーロー」

父は娘を守りたかった

男で家族があれば子供を守りたいと思うのは自然な感情だと思います。

その子供が命の危機に晒されているとしたらどういう行動をとりますか?

A 警察に相談する

B 相手にあって交渉する

C 相手を殺す

本作品の場合、娘の彼氏という男は、いわゆる反社の一員で

娘は妻の実家の財産を狙っていただけでした。

たまたま娘の部屋のクローゼットに隠れて、その男の電話を聞いたところ

過去にふたりも相手の女性を殺しているとの事です。

しかも娘はすでに一度殴られていて、相手は激高しています。

自分が出て行っても確実に返り討ちにあうでしょう。

 

 

娘を守るために父がとった行動、それは・・・

極限の状態に置かれたとき、人がとる行動はふたつにひとつです。

逃げるか向かっていくか。

主人公の哲雄は不意を突いて相手を倒す決意をします。

この時、どの程度まで相手にダメージを与えるべきか。

A 動けない状態にして警察に突き出す

B 動けない状態にして脅す

C 殺してしまう

Bの相手を脅したところでこちらは腕力の無いアラフィフサラリーマンです。

Aにしても相手のバックにいる反社の連中に狙われるのは確実でしょう。

という事で、哲雄の取った行動はCでした。

 

娘を守るために取った行動は社会的に許されるのか?

私個人としては哲雄の取った行動を否定することはできません。

最優先するべきは「娘の、家族の安全」だからです。

しかし、どんな理由があったとしても人一人を殺してしまったとなれば

彼は警察に捕まり、家族が反社の連中から狙われる事に

変わりは無いでしょう。

となれば、あとはこれを完全犯罪にするしかありません。

幸い(?)哲雄はミステリーマニアであり、証拠隠滅の知識は

ある程度持っていました。

が、それを実際に行動に移すことは非常に難しいのです。

まずは現場に警察官が来ない状況にしなければなりません。

調査されればルミノール反応で血痕が分かってしまいます。

また、死体を外に出す事もほぼ不可能です。

殺人現場で、素早く死体を「無かったもの」にしなければなりません。

 

人の道を踏み外しても守らなければならないもの

自分の子供を守るという事に理由など必要でしょうか?

子供に社会的、道義的なものに反するものが無い限り

それは「否」と言わざるを得ないでしょう。

また、子供に自分が人の道を踏み外したのだという事も

悟られてはいけません。

子供にはあくまで平穏無事に過ごしてもらわなければならないからです。

哲雄の場合、この行動は妻にはバレてしまいます。

本来ならここで彼の計画はBad ENDなんですが

なんと妻は協力をしてくれる事になります。

これは予想外の事であり、彼の本位でない事は明らかですが

こうなったら夫婦だけが知る秘密として

完全犯罪を成し遂げるしかありません。

娘の為、夫婦で修羅の道を行くしか残されていないのですから。

 

敵は反社、警察、そして・・・

この作品では警察も反社の人間も無能ではありません。

むしろ哲雄は何度も窮地に追いやられ、何度も死にそうになります。

それでも彼が生き抜いて家族を最低限の危機から守れたのは

彼の知識と意志の強さに他なりません。

また、反社の人間の中にも色んな思わくがあり

人間関係や要不要によって斬り捨てられたり裏切られたりする者も出てきます。

そんな色んな人間の思わくの隙間をぬって彼は家族を守り通そうとします。

哲雄がした事は、もしニュースなどになれば

許されない事として扱われる可能性は大きいでしょう。

ですが、彼の行動を簡単に否定することは出来るでしょうか?

彼はたしかにやってる事はダーティーな事かもしれませんが

それでも私は彼を「マイホームヒーロー」と呼びたいです。