イーダのマンガ探訪

個人的にお勧めなマンガやアニメなどを上げていきます

元祖悪魔漫画?「魔王ダンテ」

当時の小学生には衝撃の少年漫画

私がこの作品に出合ったのは確か小学三年か四年の頃だと思う。

デビルマンはアニメで知っていたけど、この作品は桁が違った。

何の桁が?

そう、バイオレンス度が全くの桁違いだったのだ。

 

 そもそもこんなのが少年誌であって良いのか?

今ならそう思うでしょう。

だが、当時の私はこの作品にすんなりのめり込んでしまった。

理由はいくつかあるが、当時の私は

アニメでカムイ外伝タイガーマスク

すでに見ていたからでしょう。

それでもこの「魔王ダンテ」の衝撃度は凄かった。

今回はネタバレも含めてこの作品を紹介していこうと思います。

 

あまりにも無慈悲な導入部。

主人公で山岳部所属の宇津木涼は連日悪夢にうなされていた。

ある時は自分が巨人になっていたり

またある時は原始人が悪魔に殺されていたり

はたまたある時は高い山で怪物に出合い恐怖したり・・・

そんな中、日本アルプスに登山に行った時に遭難してしまい

気づくと氷河の断面に氷漬けにされた怪物を発見してしまう。

宇津木涼は魔王ダンテに呼び寄せられてしまったのだ。

そこで涼は催眠術にかけられ、ダンテを封印している機械(!)

破壊してしまう。

今の作品なら悪魔というのは自分を解き放ってくれた相手には

それなりに敬意を払ってくれたり礼をしたりするものだが

そこはダンテ、昔ながらのマンガの悪魔である。

そのまま宇津木涼を踏みつぶし食ってしまうのだ。

うーん、まさに悪魔の所業。

 

悪魔ですがなにか?

時同じ頃、日本で悪魔教の信者による黒ミサが行われていた。

少女を拉致し、裸で台の上に寝かせ、

鶏を引き裂いた血で身体を洗い

魔王ダンテの復活の祈りを捧げていた。

 

ダンテは食った相手の知識や能力を我が物にするのだが

この時は食った相手が悪かったようだ。

宇津木涼は敬虔なキリスト教徒の家に育っていた。

そのせいだろうか。なんとダンテの身体を逆に乗っ取ってしまう。

そして本能のままに日本へ向かう。

 

魔王対・・・

日本に戻った宇津木涼。だがその姿は魔王ダンテそのものであり

声は悪魔のそれでしかなかった。

そのため人間の軍隊から砲弾を浴び

更にはナパーム弾まで発射されてしまう

(余談だが現在ナパーム弾は使用されない事になっている)

悪魔になった自分を殺すことも出来ない人間に

絶望した宇津木涼はナパーム弾の炎が荒れ狂う中

悪魔を裏切り神に寝返った

というゼノンと遭遇して

彼の配下の100の悪魔を撃破しゼノンを引き裂きます。

この戦いで宇津木涼は身も心も悪魔そのものになっていた…

しかし、悪魔を裏切ったというゼノンに最後にこう告げられます。

「ソドムとゴモラの悲劇を忘れるな」

「ダンテ、悪魔軍団を立ち上げてくれ」

 

魔王ダンテにおける神、悪魔の解釈

ここまで書いたものを見ていただくと

宇津木涼は完全に被害者であり、ダンテは悪魔そのものです。

この作品の面白いところは

この後メドッサという女性悪魔によって語られるのですが

ダンテ、そして炎の中で対峙したゼノンなどは

地球の先住民族で、と呼ばれるものは

宇宙から飛来した侵略者である。という事です。

純粋な精神思念体である神は

その依り代を得るために地球に侵略し

後の悪魔となる先住民族を抹殺した。

という事になっているのです。

ソドムとゴモラも悪魔たちの都市であり

精神体であるから分離した牛頭馬頭によって

滅ぼされたという事になっています。

そして悪魔たちは必死に神と戦ううちに

他の生物などと合体して新たな力を得る

という特殊能力を手に入れることになります。

地球を制圧した神は、何億という数に分離し

当時の類人猿の先祖の中に宿り

現代の人間へと進化した。

これが魔王ダンテの中の

「神」「人」「悪魔」

の構図となっているのです。

 

神と悪魔、その後

新たなる人間として地球に根付いた神は

次第に自分自身が神であったという事実を忘れていきます。

元々持っていた超絶的な力も薄れていき

他の動物と同じような「ただの生き物」になっていきます。

そう

神が超絶的な力を振るっていた時に

苦渋をなめ続けて来た悪魔たちが

ついに復活し、自分たちの星を

奪還する時が来たのです!

 

その事実を思い出したダンテ改め宇津木涼は

メドッサに悪魔軍団を立ち上げるべく

世界各地に潜んでいる悪魔たちを呼び寄せるよう

命令します。

 

雑誌廃刊と打ち切り

ここまで斬新な考察とバイオレンスを融合させた

魔王ダンテですが、掲載していた雑誌が廃刊する事となり

作品そのものも打ち切りという事になってしまいます。

今でしたら他の雑誌で続きが描かれるという事もあったかもしれませんが

魔王ダンテ」のDNAは後のデビルマンに受け継がれる事になります。

また、平成になってから「真・魔王ダンテ」として描かれたようですが

私はこの作品は残念ながら読んでいません。

アニメにもなったのですが、原作ほどのインパクトはありませんでした。

魔王ダンテはやはりオリジナルの作品が至高と言えるでしょう。

デビルマンバイオレンスジャックなどのひな型ともなり

デザイン的にはマジンガーZの元ともなったという

魔王ダンテ

ぜひ触れてみてください。

 

 

 

 

 

たのしく免疫系のお勉強「はたらく細胞」

まさかの大ブレイク!

今の中高生だと学校で見せてくれたかもしれません

それほどまでに分かりやすく楽しい教材でもあるはたらく細胞

 

はたらく細胞(1) (シリウスコミックス)

はたらく細胞(1) (シリウスコミックス)

 

 私もこれは全巻持っていますが、正直アニメ化して

ここまで当たるとは思ってもみませんでした。

体内の免疫系や循環器系の話のアニメがそんなに受けるとは思ってなかったんです。

考えが甘すぎましたね

アニメ化でそれぞれのキャラは更に際立ち

話の分かりやすさもそのまま生かされてる。

素晴らしいとしか言いようがありません。


アニメ「はたらく細胞」の“新作”11.5話が公開!「ポカリスエット」とのコラボでアナザーストーリー

特に血小板ちゃんの可愛さが増し増しで

第二話はほっこりしっぱなしでした。

 

非常によく考えられたキャラ設定、デザイン

この作品の素晴らしいところは「細胞の擬人化」という

一見難しそうなところを見事に達成しているところでしょう。

色や形に元の細胞の要素が非常によく生かされています。

赤血球の帽子は元の細胞の形からとったものですし

リバーシブルになっているのは動脈と静脈で色が変わるからという凝りよう。

白血球さんの白い色も、実は「白血球だから」ではなく

細胞の観察をするための染色するものが大きく分けてふたつあるそうで

そのどちらにも染まらないので色が白いキャラになっているのだそうです。

ちなみに好酸球や好塩基球が同じ白血球なのに色がついているのは

その為なんだそうです。

好酸球ツインテールなのも元の細胞の形から来ています。

ちなみに黄色ブドウ球菌は元々が黄色いらしいです。

他にもマクロファージさんは上から見たスカートの翻り方が

元の細胞に似てるという指摘がありました。

個人的には黄色ブドウ球菌のデザインがお気に入りです♪

 

海外の医師まで絶賛の「はたらく細胞

このアニメは海外でもファンが多く、真っ先に解説をしてくれた

英国の医師の解説は「副読本」にしても良いのでは?

というくらい分かりやすく、また、アニメに内部部にまで踏み込んで

解説をしてくれています。

残念ながらYouTubeでは第一話が消されてしまっていたので

ニコニコ動画から引っ張ってきました。

こうして見てみると、本人としては「ちょっとした擦り傷」でも

現場の細胞にとっていかに大変な事なのか

良く分かります。

 

細胞たちのために身体を大事にしたくなる

この作品で細胞たちの奮闘ぶりを見ていると

なんだか普段自分の身体を乱暴に扱っている自分に

反省してしましますね。

それに輪をかけたのがはたらく細胞BLACK」でしょう

こちらもアニメ化されているので見ている方も多いかもしれませんが

 


「はたらく細胞BLACK」2021年1月TVアニメ化決定PV

見ていて辛くなる・・・(;´Д`)

酒とかタバコとか糖分過多とかごめんよぉぉぉぉ…

 

いやー中高生が見ても勉強になるかもしれませんけど

不健康な事している大人が見ると

身につまされたり反省させられたりと

ホント、色々と勉強になるアニメ&コミックです。

これはマジで色んな図書館に置いておいた方が良いですね。

ちなみに元祖「はたらく細胞」は6巻で完結しています。

 

はたらく細胞 コミック 全6巻セット

はたらく細胞 コミック 全6巻セット

  • 作者:清水 茜
  • 発売日: 2021/02/09
  • メディア: コミック
 

 

古いものに思いを馳せる「ゆめのかよいじ」

古い古いコミック

初刷が昭和63年10月。

私が持っているのは昭和63年12月の第二刷版となります。

平成を通り越して昭和に出された古い一冊の単行本。

それがゆめのかよいじというコミックです。

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ゆめのかよいじ

Amazonで探してみましたけど、リメイク版しかありませんでした。

こちらが私の持っているオリジナル版の表紙になります。

服装に時代が出ますよねー。

スカートは膝下。ソックスは三つ折りですよ!

The 昭和!ですよ!

 

古い木造の校舎に潜むものは・・・?

そんな昭和の時代。

主人公の宮沢真理は、家の都合で田舎に引っ越して来た。

ただそれだけの他愛もない普通の女子高生だった。

引っ越した次の日がいきなり夏休みとなってしまい

その初日にクラスメイトにプールに来ないか誘われたものの

校内で迷子になってしった。

そう、この校舎は増築に増築を重ねたために

非常にややこしい造りになっていたのでした。

個人的にはウィンチェスターハウスを思い出してしまいますが

それくらいややこしい造りになっているのです。

空き教室など見ながら更衣室を探していると

1人の女の子を見つけました。

 

まさかの人とまさかの出会い

半裸でもしかしてちょっとえっちぃ事してる?

ちょっと待てちょっと待て!

ドキドキしながらも急いで隠れてその場をやりすごし

何とか体育の授業に出てクラスメイトに話してみたら

「それさ、ひょっとするとユーレイかもね」

と事も無げに言ってくれるでは無いか。

「ゆーれい?」

彼女曰く

昔、この学校で女の子同士で

好きになってしまった子がいて

その片方が病気か何かで死んでしまった。

もう一人の子も後追い自殺をしてしまった。

自殺をした子は今も好きな子を探して

校内をさまよっている。

という話が昔からあって

実際に見たという人も何人か居るそうだ。

真理はその時

「校舎が古いからそういう話もあるのかも」

「木造の校舎はいろんなものが溜まっているのよ」

「生きているのよ、木でできた建物は」

なんて事を言ったのだが、それは今まで自分が感じていなかった事だった

 

それは確かにいた

登板で学校の掃除に行った時に忘れ物をしてしまい

教室に戻った真理は彼女に出会った。

そう、くだんの幽霊さんである。

彼女はどうやら自分を好きだった人と勘違いしているようで

昔話をしはじめた。

ここで不思議なのは真理はその幽霊の事が全く怖くなく

「ごめん、私はあなたの知っている人じゃないわ」

「でも、それでもいいなら好きになって」

そうして軽いキスをして校舎の外に向かっていると

窓の外には色んな人がだぶって見えるような気がした

まるで校舎の記憶を見ているように・・・

 

昭和の古いモノ探訪

この幽霊、梨絵と会う事がきっかけとなり

真理はこの町で古いモノを色々探してみる事になりました。

その描き方がステキで

私が古いモノや家屋が好きな事に

更に拍車をかけてくれましたw

古い物、バイクでも建物でもそうですが

なぜ今あの味や曲線が出せないのか不思議だと思いませんか?

今の方が技術は進んでいるだろうに。

確かにコストをかければ出来るのでしょうが

そこにはやはり当時の人達の想いがこもっていると私は考えたいです

その方がロマンがありますしね。

真理が見るものは現実にあるものだったり霊的なものだったり

様々ですが、どれも皆「永遠なもの」ではありません。

どんなものにでも霊的なものは宿り、それは古い物でも新しいものでもそう。

風景が変わるようにそこにいる霊的存在も変わっていくのです。

この辺りが日本の神道みたいで切ないけど美しくて

私の好きな部分でもあります。

 

どこにでもある「ゆめのかよいじ

この作品を一通り読んでみると、古い建物や車、バイク

様々なものへの見方が変わるかもしれません。

真理のように古い建物を探しに散歩に出かけたくなるかもしれませんね。

でもそれはとっても素敵な事なんです。

今まで見過ごしていたステキなものを再発見することができますから。

ちょっとした路地や商店街、案外何でもない所にそれはあります。

ぜひ探してみてください。

 

ちょっと余談

この「ゆめのかよいじ」は2001年に再編版が出たり

2013年には映画化されていたりして

好きな人はけっこう好きな作品なんでしょうが

なぜか目立つことがありません。

私は映画は見てないのですが、再編版よりはオリジナルが好きですね。

今はオリジナルはほぼ手に入らないかもしれませんが

再編版でも読み応えはありますので、ぜひ手に取ってみてください。

 

ゆめのかよいじ [DVD]

ゆめのかよいじ [DVD]

  • 発売日: 2014/03/05
  • メディア: DVD
 

 

18年経ってもよつばはよつばです!「よつばと!」

久々の15巻!

もう何も言いますまい。

18年目にして15巻が出たよつばと!です。

よつばと!(15) (電撃コミックス)

よつばと!(15) (電撃コミックス)

 

 帯の文句は

「普通という奇跡」

もうすべてこれに集約されてるといっても過言ではありませんね!

何てことの無いふつうの風景がここまで輝いて見える作品はそうは無いです。

よつばととーちゃんが越してきたのは風香たちの夏休みが

はじまる直前くらいでした。

1話で1日が進むという、今までにないスタイルで進めて来たため

18年経ってもよつばは5歳のままですが

ついに!

ついにランドセルを手に入れるまでになったんですよ!

なんかこれだけですっげー感動なんです!

よつばの世界の中では半年も経っていないはずなんですが

ものすごくよつばの成長を感じます。

www.youtube.com

 ↑本編は9:19あたりから

 

やっぱりふーかはええな~

お隣の綾瀬家の中で一番小岩井家と関りがあるのは風香でしょう。

よつばたちが引っ越して来た日にとーちゃんと会っていたり

ジャンボも交えてプールに行ったり水着姿を披露してくれたり

本当によつばとよく遊んでくれるお姉さんです。ちなみに高2。

 

17歳です。(おいおい!)

 

すいません、脱線しました。

 

綾瀬家には三姉妹が居ますが、大学生のあさぎも良いお姉さんですが

よつばと会話が合うという感じではありませんし

小学生の恵那はどちらかというとリアルな友達なイメージです。

会話も合わせてくれて本気で遊んでくれるというと

やっぱりふーかかなー。

この辺りは私に年下のいとこがたくさんいまして、

そういう子らと遊んでいた経験から来るのかもしれません。

それでいてふーかはとーちゃんやジャンボとも対等に話しますしね。

オッサンからしてみたらこんな良い子はおりませんわ。

おそらく作者のあずまきよひこさんは、ふーかのプロポーション

脚や胸に関しても、それほどセクシーに描こうというつもりは無いように見えます。

リアルには書こうという感じは見えますが

それが逆に健康的で魅力的にも見えるという。

オッサンからしてみてらこんな良い子はおりませんわ。

小岩井家とお出かけする(!)時も、なにげによつばの手をとって

はぐれないようにしてくれたりするのも良いですね。

こういう細かい描写もこの作品の「貴重な日常」感を際立たせてくれます。

 

12巻で終わりかと思った

よつばと!(12) (電撃コミックス)

よつばと!(12) (電撃コミックス)

 

こう感じた方って実は多いんじゃないでしょうか?

この巻では最後の方でよつばととーちゃん、ジャンボ、恵那、みうらの4人で

キャンプをしに行くんですが

そのラストがあまりに綺麗におわっていて

「良い最終回だった」

と思われても仕方がないというのと

単に13巻がなかなか出なかったというのもあります。

この頃から掲載ペースもガクンと落ちて

いつ終わるのか、次は出るのか?

とヤキモキしていた人も多かったと思います。

しかし、あれから8年経ってやっと15巻まで出てくれました。

もうね、このままゆっくりでもいいです。

よつばたちの成長と魅力的なふーかをみられたら

わたしゃもうそれだけでしあわせですよ。

なので書き続けてください。

よつばと!」は永久に不滅です!

 

 

タイムスリップとタイムリープ「ぼくだけがいない街」

時間を遡れる能力を持った男

自分の身の回りで起こるちょっとした人の不幸を

ちょっと時間を遡る能力があって止める事が出来たらうれしいだろうな

そんな風に思う人は多いのかもしれません。

でもそれが自分の母親が殺されるという事案だったら

嬉しいところか必死になってでも止めるでしょうね

しかも、犯人として疑われているのは自分自身です。

そこから主人公の悟は様々な事件に巻き込まれていきます

 

 それまでは事件を解決するためにはちょっと前の時間に戻るだけで良かった

なのに今母親が殺された事件を解決しようとしたら

小学生時代にまで遡ってしまった!

つまりこれは

母親を救うためにはここからやり直さないといけない

という事に他なりません

 

この頃に起きた事件との関連性?

ちょうどその頃、クラスメイトの女の子ふたりが

殺され、自分が懇意にしていた人が殺人の疑いで

逮捕されてしまったという事がありました。

まさかこれがなにか遠因があるのか?

悟はとりあえず最初に殺された女の子「加代」と

コミュニケーションをとる事にする

そこからさまざまな展開が起きてきます。

 

タイムリープ作品として

主人公が過去に遡って事件を解決するというと

最近では君の名は。が有名ですが

古い作品だと時をかける少女になりますね

私は「時かけ」はNHKのドラマでも見ましたし

原作は中学の時、まだラノベなどみじんもない時代に読んでいますが

当時でも非常に面白かったです。

 

君の名は。

君の名は。

  • 発売日: 2017/07/26
  • メディア: Prime Video
 
時をかける少女 (角川文庫)
 

 

 特に「君の名は。」は時間の違いを上手く使った名作ですね。

さて、時間を遡って過去の事件を変えてしまった場合

未来、つまり自分が元居た世界はどうなってしまうのでしょう?

私が知る限りだと、こういう事は「タイムパラドクス」として

あってはならない事とされていました。

藤子不二雄の「T・Pぼん」や「鉄腕アトム」でも

「未来に影響があってはならない」という前提で

物語が進められています。

しかし近年「平行世界」などの概念が入ったせいか

むしろ「未来を変革」させるために

積極的にタイムスリップを使う傾向になってきています。

「ぼくだけがいない街」

君の名は。

この過去と現代の事柄を本当にうまく絡めた

名作だと言えると思います。

 

プロットありきに大名作!

実は私、この作品の絵柄はそんなに好きな方じゃないんです。

が、どうにも表紙が気になって手に取ってしまったんですね。

そしたらこれですよ!

ヅガンとやられましたね。

最近、コミックは人気商売として

まずは数回様子見をして、人気があれば継続

無かったら打ち切り。というパターンが多いのですが

「ぼくだけがいない街」に関しては

最初からプロットが決まっていて

ほぼその通りに終えられたのではないかと思われます。

こういう作品の終わらせ方というのは

作者としても満足度が高いのでしょうが

読者としても「一本の完成した作品」として

ずっと手元に置いておきたくなる作品

となります。

 

 

それぞれのヒロインたち

この作品には小学生時代の加代と

現代での愛梨という、メインのヒロインがいます。

一人は守られるヒロインとして

もう一人は協力者、理解者として大きな役割りを果たしてくれます。

しかし、それ以上に目を引いたのは

悟の母親でしょう!

悟が長いスパンでのタイムリープの原因でもありますが

彼女の息子への愛情や献身ぶりは見ていて本当に天晴れというか

素晴らしいとしか言いようが無いのです。

ステレオタイプな母親像を押し付ける気は無いのですが

これはもう読んでもらうしか無いと!

私みたいに絵が好みでないという方でも大丈夫です。

この作品はそれさえ楽に超えてくるくらいの名作ですから。

 

 

チエちゃんかわいいだけで13巻「大家さんは思春期!」

期待大な新生活!

もうそろそろ新しい環境で新生活スタート!という人も多いでしょうね。

アパートなど共同住宅だとご近所さんがどんな人かも気になります。

そんな期待と不安を膨らませていざ自分の部屋に入ってみたら

セーラー服着た女の子が正座して待っていた!

なんて事があったら貴方はどうしますか!?

 

 ↑こんな感じの子です。

 

思春期入り口の大家さん?

実はこの子がこのアパートの大家さんで

今まで祖母と二人暮らし。

両親の事は話してくれない。

とりあえず隣の部屋の麗子さん(巨乳超絶美人)が

多少のフォローはしてくれました。

なんとまだ彼女は中一!

中学に上がりたてのほやほやらしい。

なぜこんな子が大家やってられるんだ?

色々問題は無いのか?

そもそもこの子の安心は大丈夫なのか?

とか、いろんな事を心配してしまいますよね。

で、よくありそうなのが

イケナイ展開になったらどうしよう…?

 

はい、安心してください。

そーゆうのはなりそうでも

主人公の前田さんがあまりにも紳士すぎますから!

 

大家さんの思春期はいつはじまるのか?

中学生ともなれば、小学生とは色々環境も変わり

価値観も大きく変わってくる世代です。

学校で新しい友達が出来たり

部活動を始めたり

恋愛とかもしちゃったり!

でも、大家のチエちゃんには少なくとも

恋愛の二文字は遠そうです。

一度同級生の男の子がストーカーまがいの事をしちゃいましたけど

結局は熱烈なファンみたいになっちゃったし

下駄箱にラブレターが入っていても

「誰かが間違えて入れたのかな?」といった感じで

恋愛に関してはどこかズレてる?

 

 

周囲の男の子もチエちゃんに好意を寄せても

アタックしようというところまでは行かないような子ばかりで

チエちゃんの思春期っていつ始まるのかと!

 

不思議な第三惑星ならぬ不思議なアパート

このアパートもけっこう不思議に飛んでいます。

よく会う住人としては隣に住む麗子さん。

ホステスさんという夜の仕事をしているようですが

超売れっ子らしい。

一階に住む熊川さんはラノベ作家らしいけど

チエちゃんの友人の話によると

超売れっ子とか?

(本人の容姿からはラノベとか少女とか縁が感じられないけど)

あまり姿を見せない星谷捺美(男:通称なっちゃん)も

けっこうなお金持ちのご子息らしい。

そうこの築〇十年の木造アパートには

なぜか金銭的に裕福な人があふれてるんですよ!

前田さんを覗いて!

それでも、みんな仲良く交流できるところは良いですね。

なぜか前田さんの部屋が集会場みたくなってますけど。

 

セキュリティーはバッチリ!

それでもチエちゃんが一人で暮らしてると心配にはならないでしょうか?

大丈夫です。

チエちゃんは昭和のイメージが高いキャラの子ですけど

その分近所のおじいちゃん、おばあちゃんから絶大な人気があり

特におばあちゃんネットワークで

アパートの近くを通る人のチェックは

隅から隅まで行われているのです!

近所のお巡りさんも心配症なのか

店子の前田さんにまで厳しくチェックが入るほど。

こうして中学生大家さんの安全は守られているのですね。

 

アパートものはいいねえ・・・

実は私、アパートが舞台のマンガってけっこう好きでして。

古いものでいえばめぞん一刻とか

ちょっとマイナーですけど「すずめすずなり」とか 

 これも古くてメジャーではないけど「日当たり良好」なんかもありましたね

陽あたり良好!(1) (フラワーコミックス)
 

 

どれも一風変わった人が住んでいたり

住人同士の関わり合いなどが楽しくて

好きな作品が多いです。

今は集合住宅でも隣近所の関わり合いが少ない傾向があるかもしれませんが

こういった人間関係のぬくもりが感じられる作品っていいですね。

これは恋愛なのかそれとも・・・「娘の友達」

無い無いのお父さん

妻に先立たれて一年、会社でも家庭でも責任は重くなるところで

娘は部屋に引きこもってしまい会社でも立ち回りが上手くいかない

そんな時、高校生の女の子に迫られたら

貴方は断る事が出来ますか…?

 

 

主人公の晃介は昇進間近と言われるやり手サラリーマン。

周囲からは羨望や嫉妬の眼差しで見られる立場。

そんなちょっと疲れた彼には更に疲れる原因が…

妻に先立たれてから娘は部屋に引きこもってしまい

それも彼には重荷になっているのでした。

なぜそうなってしまったのか解らない。

そんな状況で立ち寄った喫茶店で客に絡まれてる店員さんが居ました。

 

おっさんの立ち回り方

面倒臭そうな若者から機転をきかせて店員さんを助けてあげたら感謝される。

これはよくある

店員さんは若くてかわいい女の子でした

これもよくある

若いはずである彼女は女子高生だった

これもまあある

その女子高生に好意を抱かれてしまった

これはもしかしたらあるかもしれない

その女子高生は実は娘の幼馴染だった

無いわー!

色んな意味でアウトだよ!

積極的に迫られてもヤバいよ!

社会的に抹殺されるわ!

 

社会人として父として

だが、現実世界は更に世知辛いものです。

取引先はムチャな値引きを要求してくる

社内では他の部署の人間に絡まれる

同僚は社内で不倫をカミングアウトした上

それを否定したら逆切れする

娘は親の気も知らず引きこもる

学校は娘が引き籠るのは俺のせいだと言う

どーすりゃいいってんだよ!

となったところへくだんの女の子

「疲れませんか?」

「毎日上司でいたりお父さんでいたり」

「疲れませんか?」

「今日だけは晃介さんになってみませんか?」

と語り掛けてくる。

その時彼女は天使に見えた・・・

 

男だものおっさんだって

近い・・・

 

距離が近い・・・

 

触ってくる・・・

 

手を

 

ほんの少しだけ

 

こんな状況で発情しない男は居ないでしょう。

もう何もかも全部捨ててしまいたい。

そう考える人もいるでしょう。

彼女は天使に見えた。

そういう人もいるでしょう。

でも、私はここまで読んで「怖い」

と感じてしまいました。

一昔前のマンガだったらここから娘も部屋から出てくるようになって

若い彼女と結ばれて

社内での立場も持ち直してハッピーエンド!

なんて展開もあったかもしれません。

でも、私には彼女がとてつもなく怖い対象に見えてしまいました。

それでも逃れられない麻薬のような毒。

そう、彼女はこの上ない甘美な毒に違いない!

としか思えないのです。

 

こんな話を読ませてしまう毒

しかし彼女とのやり取りに目が離せないのです。

そう、彼女は主人公にとっても毒に見えますが

読者を魅了する毒でもあるのです。

この読ませ方が本当に上手い。

何と言ってもキャラクターが

色気がありつつも若さに溢れてる感がハンパ無い

彼女のバックボーンもちゃんと描かれていて

なぜ、どうしてこうなったのか

それは徐々に明かされていきます。

そして最後は・・・

ぜひ読んでみてください。