イーダのマンガ探訪

個人的にお勧めなマンガやアニメなどを上げていきます

自転車の教科書マンガ「アオバ自転車店」シリーズ

自転車の全てを網羅した稀有な作品

 1999年、全ての自転車に乗る人に対して「教科書」とも呼べる

作品がはじまりました。

それが「並木通りアオバ自転車店」です。

今まで自転車に関するマンガはそこそこあったのですが

この作品の大きな違いは

「全ての自転車に関する事を網羅した作品」

という事です。

ほとんどの話は自転車に無知な人や興味のない人が

主人公の小学生アオバや、その実家であるアオバ自転車店に触れることで

自転車の楽しさや新しいライフスタイルを見つけていく。

というものです。

 

自転車の数だけライフスタイルがある

このマンガが始まった時は、まだ今ほど自転車が交通手段として

注目されてはいませんでした。

電動アシスト自転車の「ヤマハPAS」ですらまだ高価で

今ほど普及はしていなかった時代です。

そんな時代にロードバイクMTBはもちろん、ミニベロや

折り畳み自転車、果てはリカンベントまで出てくるこのマンガは

まさに「自転車の宝箱」のように様々なライフスタイルに合わせた

自転車の存在を教えてくれたのです。

どんな用途なのか、走る楽しみを味わいたいのか、

通勤、通学に使うのか、買い物に使うのか、レジャーに使うのか、

アオバが自転車博士のごとく、時にはカスタムの仕方まで

教えてくれるのです。

 

自転車を通じて知る様々な事

 アオバ自転車店シリーズと最初に書きましたが、この作品は

「並木道通りアオバ自転車店」全20巻

アオバ自転車店」全20巻

アオバ自転車店へようこそ!」全20巻

アオバ自転車店へ行こうよ!」現在7巻まで刊行

と、20年以上にわたって掲載されている超ロングセラーです。

熱血スポーツマンがでもないのに、自転車ネタだけでこれだけストーリーが生み出せる

作者の自転車愛や力量も相当なものですが

これは、単に自転車というよりも、自転車を通じて

様々なドラマを絡めていく事が上手いからでしょう。

先にも書きましたが、自転車によって生み出される新たなライフスタイルをはじめ、

親子や恋人との絆、自転車そのものの特性など

その内容は非常に多岐にわたっています。

 

便利なだけじゃないぞ!自転車!

このマンガの更に素晴らしいところは、自転車のネガティブな部分も

しっかり描いている事です。

「自転車は車両であり、基本的には車道を走る事!」

「ノンブレーキのピストなど論外である!」

「無灯火厳禁!」

「自分の身は自分で守る!等など・・・

場合によっては耳の痛い話もけっこう入れて来ます。

ですがそれも全ては自転車愛ゆえ!

なのです。

単に自転車の利便性や楽しさだけではなく

社会の中で自転車をどう扱っていくのか。

という部分にまで踏み込んで描き続けている作品は

それこそ稀有であり推薦図書にすらして欲しい

と、本気で思えるし、

全国の小中学校の図書館にぜひ置いてほしい!

と本気で思える作品なのです。

 

アオバ自転車店へようこそ! コミック 1-20巻セット

アオバ自転車店へようこそ! コミック 1-20巻セット

  • 発売日: 2017/12/11
  • メディア: コミック
 

 

いっそ「アオバ自転車店辞典」を作って欲しい

この作品が始まって、もう20年以上も経っているので

初期の作品は新鮮でありながらも少々古い感じがするかもしれません。

それだけにこの作品で訴えてきた事、語られた事、登場する自転車など

もう別冊でまとめて出しても良いのではないかとすら思えるほど

情報量とためになる事が満載なのです。

普段自動車に乗って「チャリカス邪魔!」と思っている人も

ロードなどに乗って「車邪魔!」と思っている人も

普段何気なく自転車に乗っている人も歩行者の人も

「自転車」というのがどういうものなのか。

利便性、危険性、有能性をこの作品を通して知っていただきたい。

そんな作品です。